ビッグモーター不正事件とCMタレント佐藤隆太さんの悲劇

佐藤隆太の損害賠償金は最大7,200万円も「請求できない契約と業界の慣習」

ビッグモーター不正事件とCMタレント佐藤隆太さんの悲劇

長年ビッグモーターのCMキャラクターを務めてきた佐藤隆太さん。ビッグモーターが起こした保険金の不正請求などにより、国交省からの聴取が入ることが分かったことを受け、佐藤隆太さんが所属するケイファクトリーがビッグモーターとのCM契約解除に動いています。

ネットでも、「タレントは、不倫で損害賠償請求されているんだから、逆もあるべきでは」という声が多くみられますが、今回の佐藤隆太さんとビッグモーターでのCM契約の場合で試算したところ7,200万円という値が出ましたが、請求できない事情がありました。

佐藤隆太さんはビッグモーターに8,000万円ぐらい請求すべき

タレントが企業の不祥事で損害賠償を請求するというケースはこれまでほとんどありません。しかし、今回のケースでは、ビッグモーターのCM=佐藤隆太さん、というイメージが非常に強い。実際、ネットでも佐藤隆太さんの心配をする声が他数あります。

俳優さんが不祥事起こすと企業側は損害賠償だのなんだの言うけど、なんで逆はないの??悪質な事が発覚したのになぜかCMバンバン流れてて、佐藤隆太さんとばっちりのイメージダウンにつながるかもしれないのに😢企業側の不祥事なら、起用の方に謝罪と損害賠償するべきでは?佐藤さんこんなの悲しいよね

では、実際に請求できるとしたらいくらぐらいが妥当なのか調べてみました。

佐藤隆太さんの契約金額は年間で5,000万円ほど

2019年のCMギャラランキングによれば、佐藤隆太さんは1,800万円と推定されています。これは1本(1クール:3か月)当たりの金額です。

ただし、ビッグモーターとのCM契約では年間契約を結んでいると考えられるため、通常は1本当たりの金額の2倍~3倍程度になります。(年間だと4クールなので通常4倍になるが、まとめて契約するディスカウントが発生するため、通常2~3倍の価格に落ち着く)

ですので、仮に2.5倍ぐらいと考えると1,800×2.5=4,500万円。さらに佐藤隆太さんはビッグモーターのCM以外ではブランジスタエール社の「ACCEL JAPAN」という、芸能人の広告素材を定額で配信している事業に参加しているのみ。つまり専属契約を結んでいると考えられます。

ですので、切りよく年間5,000万円、実際はそれ以上の契約になっている可能性が高いです。
※「ACCEL JAPAN」については使える素材があらかじめ決まっているため、専属契約には抵触しないから参加できていると考えられます。

佐藤隆太さんの損害金額をCM契約料から試算

では、実際に損害金額を試算してみます。

現在、佐藤隆太さんがビッグモーターと専属契約を結んでいると考えた場合、ほかに佐藤隆太さんを使いたいと考えている企業の打診は断らなければいけません。仮に1クール1本の打診があるとした場合、ビッグモーターとのCM契約がなければ1,800万円×4本=7,200万円の契約になります。

もちろん、7,200万円のほうが金額は高くなりますが、CMは継続で契約できなければ単発で終わってしまいます。事務所もタレントさんも毎年契約してくれるクライアントの方が安定した収益が見込めます事務手続きも単純化できます。ですので、専属でずっと使ってくれるなら、という形で契約を結んでいる可能性は高いです。

反対に、専属契約を結んでいるから他は断っていたのに、今回の不祥事で佐藤隆太さんのイメージが下がり、本来得られるはずの4本分のCMが得られなかったとしたら……得られるはずの7,200万円を請求することはできるはずです。

佐藤隆太さんや事務所から損害賠償請求は難しい契約と慣習

しかし、実際に損害賠償の請求は難しいでしょう。

CM契約に事務所やタレント側からの損害賠償項目がない

電通や博報堂、ADKをはじめ150社以上の広告代理店が参加する一般社団法人日本広告業協会が作成した広告出演契約書のひな形の第14条(損害賠償)には

第1号:タレント事務所(タレント含む)が第11条第2項に該当する行為を行った場合
第2号:タレント事務所(タレント含む)の責に帰すべき事由によってタレントの出演が不能となった場合
第3号:当事者のいずれかが本契約の履行に支障をきたす回復不能の行為を行った場合

となっており、いずれも主語はタレント事務所(タレント)となっています。つまり、タレント側が何か起こした場合は支払ってくださいね、という前提で書かれています。

この契約書は広告代理店の協会がつくった見本です。もちろん各社それぞれアレンジしているとは思いますが、契約書自体はタレント側が不利=スポンサー側に有利に作られています。

このように、まず契約面で損害賠償の請求は難しいことがわかります。

ネットの中には、タレント事務所側も損害賠償請求についての項目を入れてるはずだ、という方もいますが、ただでさえ後ろめたい行為をおこなっていたビッグモーターが、そのようなことで不利になる条項を入れるとは思えません。契約時点で、損害賠償請求できない、もしくはしても効果が薄い契約になっている可能性は非常に高いです。

損害額の算定が難しい

また、先ほどの試算も、あくまで他社からの要望を断っていた場合の話です。このケースでいえば実際に損害が発生したわけではありません。

例えば、タレントさんの不祥事の場合は、CMの制作費、出稿費(メディアに流す費用)、プロモーションのプロジェクトに関わった事業費、など損害の計算が実費で出せます。しかし、今回、佐藤隆太さんのイメージを損なった金額はいくらか?と聞かれても抽象的すぎて金額の算出が難しいです。そのため損害賠償金額が設定できないという問題があります。

業界内でのイメージ低下が怖い

さらに、今回の件で、もし仮に事務所側から損害賠償請求を行ったら、

業界関係者
業界関係者

あの事務所(タレント)は、会社に何かあったら損害賠償を請求してくるらしい。じゃあほかの候補でいきますか。

という評判が立つ可能性は高いです。そうなると、後々の仕事獲得のことを考えると、ここで多少の賠償金をもらうよりは、イメージの回復に努めつつ、可哀そうだから、同情で、という形で新たな契約にこぎつけるほうが方針としては良いでしょう。

ですので、事務所は損害賠償請求までは行わないと考えられます。

実際はビッグモーターのCMが中止になっても契約通りの金額(約2,000万円分)をそのままもらうぐらいが妥当か

佐藤隆太さんはビッグモーターの件で泣き寝入りするしかないのでしょうか?こんな声がありました。

そのリスクを含んでいるからCMの出演料は高いと聞きますね。1日拘束して数十秒分の撮影をしただけで数千万(駆け出しの若手芸人でも100万円)だそうなので、賠償金の請求はできないでしょうけど契約期間満了までの契約金はCMの放映に関係なく満額支払っていただくということにはなるのかなと思います。

つまり、契約期間途中でCM放映は中止になるけど、年間契約分の金額は払ってくださいね、という交渉を行うぐらいしかできない、ということです。

おそらく佐藤隆太さんは年間契約を交わしていると考えられます。

ビッグモーターは3月、9月決算なので、仮にCMの契約期間が……

・3月までの場合
 4,500万円/12×8.3333か月(7月の1/3と8~3月の8か月分)=3,125万円

・9月までの場合
 4,500万円/12×2.3333か月(7月の1/3と8~9月の2か月分)=875万円

・12月までの場合(1年を1月~12月までとした場合)
 4,500万円/12×8.3333か月(7月の1/3と8~12月の5か月分)=2,000万円

となります。これらの金額を、とりっぱぐれ内容にするという事しかできないと考えられます。とはいえ、ビッグモーターのCMが中止にならなければ普通にもらえていた金額なので、損害賠償として追加でお金をいただけるというものではないので、損害賠償とは言えないでしょう。

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