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ボクシングの採点って何が基準なの?素人でも楽しめる採点するときのポイントとは?

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ボクシングの世界タイトルマッチで不可解な判定があると、目の肥えたボクシング・ファンはまっさきに非難の声をあげます。

そんなふうにボクシングの採点について的確に指摘できる人たちを、うらやましく思ったことはないでしょうか。
目の肥えたファンと同じ目線でボクシング観戦ができるように、ボクシングの採点についてご説明いたします。

 

なぜボクシングの採点はあんなにバラつくのか?その採点方法とは?

採点方法

ボクシングの試合の採点は、「10ポイント・マスト・システム」です。
採点は、ラウンドごと(ラウンドの終了時)に付けていきます。
そして、優勢だったほうを10点満点と定めて、両者に点数をつけます。

点差のつけ方

点差のつけ方は、次のとおりです。

・両者が互角で差がなかった場合は、10対10のイーブン(引き分け)
・優勢だった場合は、相手から1ポイントを奪って10対9
・ダウンを1度させた場合は、相手から2ポイントを奪い10対8
・2度目以降のダウンは、相手から1ポイントずつを奪い、10対7、10対6……となります。

どちらかが必ず10点に?

では、「相手をダウンさせて2ポイントを奪ったけど、そのあと相手の反撃を受けて逆に1ポイントを奪われた場合は、9対8ということになるのか?」

いえいえ、そのような場合は「9対8」ではなく、「10対9」と付けます。
10ポイント・マスト・システムは、「優勢だったほうを10点満点」と定めるのが原則だからです。

ボクシングの試合は、このようにして各ラウンドに採点を付けていきます。

全ラウンド終了後

そして、ノックアウトで決着がつかず、すべてのラウンドが終了すると、全ラウンドの採点が集計されます。
試合中、反則による減点があった場合は合計点から引かれます。
集計の結果、点数の多いほうの選手が「勝者」として支持されます。

ジャッジ(採点者)は3人。
そして、2人以上のジャッジに支持されたほうの選手が、試合の勝利者となります。

これが、判定による勝敗の決め方です。

ボクシングの採点基準は?最も重要な優劣の判断とは?

では、採点を付けるときに、どうやって優劣の判断をしているのでしょうか?

採点基準

採点の基準は、以下の4項目が定められています。

①クリーンヒット

ダメージにつながるような有効なパンチを当てたほうを優勢とする。

②アグレッシブ

より攻撃的だったほうを優勢とする。(ただし単なる突進は優勢とは認めない)

③ディフェンス

巧みに防御していたほうを優勢とする。(ただし防御するだけで攻撃に結びついていない場合は優勢と認めない)

④リングゼネラルシップ

試合態度や戦術において主導権支配をしていたほうを優勢とする。

 

世界タイトルマッチでは、無理やり優劣を付けている?

本来であれば、基準がちゃんと設けられているので、ジャッジの採点がバラバラになったり、試合内容とかけ離れた採点になることはないはずです。

実際、国内の試合(日本タイトル以下)では、問題になるような判定はほとんどありません。

問題なのは、世界戦です。

通常とちょっと違う、世界戦の採点方式

世界タイトルマッチでは、事実上、10対10の引き分けのラウンドはありません。
互角の展開だったラウンドでも10対9を付けて、優劣を振り分けます。

名目上は10対10のイーブンを禁止しているわけではなく、「なるべく優劣を付ける」ということになっています。
ですが、世界戦で10対10を付けるジャッジはほとんどおらず、かならず10対9に振り分けています。
「ラウンド・マスト・システム」と呼ばれている採点方式です。

現在、このラウンド・マスト・システムが、ジャッジの採点が乱れる最大の要因になっています。

互角の展開だからこそ判断が大きく分かれてしまう・・・

互角の展開だったラウンドでも、ジャッジは優劣を付けます。
そうなると、ジャッジ個人の主観によって優劣が決められることになります。

ここで、4項目ある採点基準があだになります。
優劣を判断するための基準が4つもあるため、3人のジャッジがそれぞれ違う観点から評価し、採点が割れてしまうのです。

例えば、ファイター・タイプの選手 vs テクニシャン・タイプの選手の場合・・・

たとえば、積極的に前にでるファイター・タイプの選手と、防御が巧みなテクニシャン・タイプの選手が対戦したとします。

両選手ともに持ち味を発揮し、互角の展開でした。

3人のジャッジは、この互角のラウンドにも10対9と優劣を付けます。

ジャッジのひとりは、防御のうまいテクニシャン・タイプを支持――
ジャッジのひとりは、果敢に攻めていたファイター・タイプを支持――
もうひとりのジャッジは、試合運びの印象がよかったテクニシャン・タイプを支持――

このようにして、3人のジャッジがそれぞれ主観(もしくは好み)によって採点を振り分けます。
それが積み重なっていき、全ラウンドの採点を集計すると、3人の判定がまったく違うものになってしまうのです。
これが、世界戦で「不可解な判定」が多発している最大の原因です。

ボクシングの採点を素人でも楽しむには?試合のここをチェックしろ

「採点の基準が4つもあるんじゃ、素人には優劣を見分けることなんてできないんじゃないのか?」
そのように思った人もいるかもしれませんが、実際はそんなことありません。
ボクシングは格闘技であり、本来、優劣の見分け方はシンプルだからです。

先に挙げた4項目には番号が付けられていますが、判定基準の筆頭は「クリーンヒット」です。

ダメージにつながるような有効なパンチを当てていたかどうか――格闘技である以上、それが最優先です。
4つの判定基準が定義される以前から、ボクシングはずっとクリーンヒットを基準に優劣を決めていました。
残る3項目は、クリーンヒットがなかった場合の判断材料にするのが、ボクシング本来の採点の付け方です。

まとめ:ボクシングをより深く、より高度な視点で楽しもう

世界戦はラウンド・マスト・システムを採用しているので、採点が割れてしまうのはやむを得ない部分もあるのですが、クリーンヒットを軽視した採点は、あきらかに「おかしい」と言えます。

クリーンヒットは、相手がダメージを受けていることが目に見えてわかるので、素人でも見分けることができます。

ボクシングを観るときは、クリーンヒットに注目しましょう。
クリーンヒットを基準にして、各ラウンドに自分で採点を付けてみるのもいいですね。
ボクシングをより深く、より高度な視点で楽しめると思います。

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