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福娘や福男選びでおなじみ「十日戎(とおかえびす)」の歴史や概要がよくわかる解説!

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「十日戎」ってご存知ですか?

関西や西日本に住んでいる方にはなじみが深いことかもしれませんね。

そう、「えべっさん」と親しみを込めて呼ばれている地域もあるかもしれませんね。

けれど、関東や、東日本では意外と知らない人が多いのです。

「なに、それ?」

という薄い反応をした方もいらっしゃるかもしれませんね。

そこで今回は、「十日戎」についてのあれこれをまとめてみました。

「えべっさん」と親しみを込めて呼んでいる地域の方には「何をいまさら!」と怒られてしまいそうですが、十日戎のことや由来や歴史、おなじみの福娘についても触れてゆきたいと思います。

十日戎とは?なぜ商売繁盛なのか?その歴史と由来を紐解く!

そもそも「十日戎」とは?

「十日戎」とは、1月10日、あるいはその前後の9日や11日に行われている戎社で行われる神事で、通称「えべっさん」と呼ばれています。

この日に、神社や戎神社にお参りして、縁起物の笹副や熊手を買い、商売繁盛の神と言われている恵比須の神様に商売繁盛や家内安全、交通安全を祈ります。

これは恵比須の神様をまつる行事で、関西では「今宮戎神社」や「西宮神社」で開かれるものが有名です。

そして、「西宮神社」といえば、1月10日に、門が空くのと同時に一番に参拝した人を「副男」とする「開門神事福男選び」が行われることで有名です。

早朝、門が空くのと同時に神社まで続く長い参道を走って一番に参拝するのを競う姿は、関東でもニュースやワイドショーで紹介していますので、関東に住む人はピンとくるかもしれませんね。

あの「福男選び」も含めた、1月10日とその前後に行われているのが、「十日戎」という行事なのです。

どうして恵比須の神様は商売繁盛の神様なの?

七福神の一人に数えられている恵比須様。

よく年賀状に、宝船に乗った七福神の絵柄を見かけますが、あの七福神の中に恵比須様はいるのです。

右手に釣り竿を持ち、左脇に鯛を抱える姿が一般的で、ふっくらと太っていて笑顔な神様、という印象があります。

元々この恵比須様は、漁師たちにとっては海の神様でした。

その昔、恵比須様は海の神の威厳を表すかのように怖い形相をしていました。

その恵比須様が、時間が過ぎるにつれて他の様々な神様と同一視されて、七福神となったわけなのですが、その過程で、少しずつ険しい顔が、今のような穏やかでにこやかな表情の神様になっていったそうです。

 

「それじゃあその漁業の神様が、どうして商売繁盛の神様になったの?」

そう、恵比須様はもともと漁業の神様だったのですが、その恵比須様がどうして商売繁盛の神様になったかは、実のところあまりよくわかっていません。

それには、こんな言い伝えがあります。

もともと、恵比須様が海の神様としてまつられていた古代は、漁業をする人たちは釣った魚は自分たちで食べるものでしたが、時代が進むにつれて、釣った魚を人に売って、お金を得て、それで生活するようになりました。

そこで、魚がたくさん釣れて良く売れた時には「恵比須様のご利益」とされて、段々と商売繁盛の神様となっていったといわれています。

そこにさらに、商売繁盛の神様から「商売繁盛=お金をもたらす」と派生してゆき、福の神といわれ、やがて五穀豊穣のご利益まで謳われるようになりました。(田や畑での収穫物を売ってお金を得ている人もいたはずですしね)

さらに、交通安全の神様となっている地域もあるそうです。

そんなご利益がどんどん乗せられていって今日の恵比須様が出来上がったわけです。

日本人にとって、五穀豊穣や大漁、商売でお金を稼ぐこと、そして縁起が良いもの、それらをすべて詰め込んだ神様、それが恵比須様なのですね。

 

さて、余談ですが、この恵比須様には素敵なエピソードがあります。

10月、神無月になると、日本の神様は全員出雲大社に集合するといわれているのですが、恵比須様だけは、なぜか出雲大社には来ず、留守神として各地に残っているのです。

けれど、そのため年中無休で働いている商人からもあがめられるようになったとか。

日本で一番有名な福の神様が、神無月に神様が集まる時に1人(1柱?)で欠席、お留守番・・・奥ゆかしい性格なのでしょうか?・・・いずれにしても、恵比須様の性格や気性をうかがわせるエピソードですが、もしかしたらこんな性格だからこそ、日本で最大の福の神と言われるようになったのかもしれませんね。

十日戒の歴史と由来

そんな恵比須様のお祭でもある「十日戎」は、戦国時代の終わり頃、豊臣政権の時代に始まったといわれています。

当時、一般庶民の間では、商人の発達に伴って、商売繁盛の神様として恵比須様が信仰され町が商人によって、どんどん発達していました。

そして江戸時代になると、豊臣政権のお膝元だった大阪は商人の町として繁栄を誇り、恵比須様は商人にとってのよりどころの神様となり、恵比須様を祀っている今宮戎神社が恵比須様信仰の中心となったのです。

当時から関西は商売の町、という事で、この恵比須様信仰も関西から西日本にかけて広がっていったのです。

そんな経緯で、西日本ではお正月明けの10日、正月明け最初のお祭りという事も手伝って、この「十日戎」がとても盛大に盛り上がるのです。

 

そんな十日戎といえば有名なのが、威勢の良い掛け声と縁起物です。

「商売繁盛で笹もってこい、吉兆買う人得な人、来年も吉兆はここだっせ」

かなりテンションが高い掛け声で、初めてこれを聞いたときには驚きました。

この掛け声に出てくる「笹」にも由来があります。

竹は古来から、一年中青々としてまっすぐに天に向かっていることから、縁起の良い、命の象徴、神秘的なものとして扱われていました。

そして「笹」も、一年中青々としていて冬の寒さにも耐えられる、ということから、
商売の苦難や逆境にも耐えられるという象徴となってゆきました。

 

そんな笹を「十日戎」に持っていって、売られている様々な縁起物の子宝(小槌、海の幸、山の幸。熊手、ざる・・・)を買うと、福娘が(次の章で説明します)その笹につけてくれてるそうです。

聞いた話によりますと、毎年笹をもっていって、毎年一つずつ縁起物を増やしてゆく方もいらっしゃるとか・・・

今は、すでに縁起物がつけられている笹が売っている所が多いそうなのですが、
「商売繁盛笹もってこい~」という掛け声には、こういった由来があったのですね。

今宮戎の福娘選び!十日戎での役割は?どうやったらなれるの?

福娘とは?

「十日戎」には欠かせない存在なのが、この「福娘」さんたちです。

「福娘」とは、簡単に言ってしまうと「十日戎」の神事に携わる巫女さんといったところでしょうか?

かわいらしい顔立ちの20歳前後の女性が、お揃いの金の烏帽子と千早姿(紅白の巫女装束の上に白い衣をつけた姿)で子宝を売っている所はとても華やかで印象に残る姿です。

そんな福娘、「十日戎」の神事の前にはPR活動や各官庁や関係団体、報道関係へのあいさつ回りを行い、お正月明けの神事や「十日戎」の神事に携わりと、「十日戎」開催前からかなり忙しいようです。

そんな「福娘」のなかでも「今宮神社」の福娘は別格で、噂によると、今宮戎神社の「福娘」に選ばれると、就職に有利になるとか、アナウンサーさんの中ではこの福娘出身の方もいらっしゃるとか・・・

 

「福娘になりたい!」どうやったらなれるの?

そんな「十日戎」で福娘は、「十日戎」が開催される各神社で、大体9月から11月にかけて募集を行っているそうです。

今宮戎神社では、毎年40人前後の福娘が選ばれ、その中の25人前後が「えびす娘」として、神社で福笹の授与を行います。

その福娘、毎年応募者数が多く、3000人程が福娘への応募があるそうです。

その3000人から福娘に選ばれるのは40人、なかなかの競争率ですね。

そして、気になるを審査は全部で4回もあります。

ざっくりとその内容を説明しますと・・・・

書類選考

書類に不備がないかをチェック。不備がなければ通過。

二次審査(面接)

受験番号と名前、職業を聞かれた後、「面接官の前を歩いて横切る」。
ここで500人ほどに絞られるそうです。

三次審査

ここからは報道のカメラが入ってきて、さらにステージでの審査になります。
この三次審査まで残る人は美人の方、かわいらしい方が多いそうです。
面接内容は二次審査とほぼ同じで、歩く場所は「ステージの上」です。
この面接で100人前後に絞られるそうです。

最終審査

面接内容は二次審査と同じ内容+15秒のアピールタイム。
この最終審査に通過した40人前後が、「福娘」となります。

アピールタイムは、ダンスをしたり歌ったりと様々だそうです。

最終審査まで残ると、「えびす娘」として、「十日戎」の期間中、福娘を補佐するお仕事をすることもできるそうです。

今宮戎での華やかな福娘を選ぶために、ここまで大変なことが行われていたのですね。

 

それにしても、ちょっと面白いなと思ったのが、二次審査の「面接官の前を歩いて横切る」という面接内容です。

「十日戎」は人がたくさん来て、人の目に留まることも多い祭事ですから、外見だけでなく、そういった立ち居振る舞いも重要という事でしょうか?

同じ千早姿でも、姿勢正しくささっと歩いている人と、姿勢が悪くドタドタと歩いている人とでは、どちらが素敵かは説明するまでもないですからね。

まとめ

「十日戎」。

恵比須様を祀ったお祭りで、商売繁盛を願ったお祭りなのですね。

この恵比須様にも由来があって、十日戎もまた古くからある由緒正しい祭事なのです。

関西や西日本ではとても有名で活気のあるお祭りですが、関東ではそれほど知られていないのは、関西は商業が発達した地域だからこそ、商売繁盛の神様である恵比須様を祀ったお祭りがここまで盛大だという事です。

十日戎の福娘も、とても華やかで見ているだけでも癒される光景ですね。

近くにお住まいの方、あるいは年明けに関西や西日本で過ごす予定のある方はぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

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