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重陽の節句の意味とは?なぜやるの?なぜ日本では地味なの?

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桃の節句(上巳の節句)や端午の節句をお祝いする人は多いのに、重陽の節句(ちょうようのせっく)はあまり有名ではありません。お祝い方法どころか、何のために存在する節句なのかを知らない人も多いはずです。ところが、古来、重陽の節句は重要な意味を持つ行事だったのです。

重陽の節句とはなにか?重陽の節句の由来と内容について

中国での重陽の節句とは

古代中国では奇数は陽数とされ、縁起の良い数でした。陽数の中でも一番大きな数字が9で、9が重なる9月9日を「陽が重なる」と書いて「重陽の節句」と定めました。縁起が良い反面、陽の気が強すぎて悪いことを引き寄せるとも言われ、邪気を払い不老長寿や繁栄を願う行事を行ってきました。

中国の伝説に菊慈童という700~800年生きても子供の姿のままだった仙人の話があり、日本でも能の演目として親しまれているようです。流刑にあった菊慈童が身を守るために与えられた二句の経文を菊の葉に書いておいたところ、葉についた露が川の水に落ち、薬水になりました。その水のおかげで不老長寿になった菊慈童にあやかり、菊が不老長寿をもたらすと信じられたのです。

日本での重陽の節句とは

日本では平安時代ごろに貴族の宮中行事として定着し、「重陽の節会(せちえ)」と呼ばれました。日本でも重陽の節句の時期に咲く菊の花は、邪気を払い長寿をもたらす花と信じられ、重陽の節句の重要な核となりました。

当時は、重陽の節句の前夜、菊の花に綿を被せて夜露と香りを綿にしみこませ、節句当日にその綿で顔や体を拭くと老化防止、長寿の効果があると信じられていました。この風習を「菊の被綿(きくのきせわた)」といいます。

江戸時代に入り、重陽の節会と収穫祭が結びつき、五節句として確立しました。当時は、武家も庶民も関係なく、子供たちが学問や芸事の師匠のもとへ出向いてお祝いを述べる風習があったとされています。

菊の花に秋の味覚も加わり、1年最後の節句を盛大に祝いました。現在でも、九州地方では盛んにお祝いしている地域があります。「くんち」「おくんち」と呼ばれ、お祭りが行われています。

重陽の節句が現代でピンとこない理由

現在の暦では9月9日はまだ残暑が厳しく、菊の花も咲きません。秋の収穫の時期にも早いため、節句の行事がだんだんと廃れていったと言われています。2018年の旧暦の9月9日は、10月17日にあたります。今年は一年で最後の節句を、旧暦でお祝いをしてみるのも風情があっていいですね。

重陽の節句が盛り上がらない原因とされるもうひとつの説は、日本では9という数字が「苦しむ」「苦労する」といった悪いイメージで捉えられがちであるというものです。中国と日本では縁起が良いとされる数字が違うために、おめでたいと思えなくなってきたのでしょう。

参考:五節句と植物
・1月7日:人日(じんじつ)の節句=七草の節句
・3月3日:上巳(じょうし)の節句=桃の節句
・5月5日:端午(たんご)の節句=菖蒲の節句
・7月7日:七夕(しちせき)の節句=笹の節句
・9月9日:重陽(ちょうよう)の節句=菊の節句

重陽の節句では何をするのか?食べ物の楽しみ方は?

重陽の節句では菊の花を愛でます。菊の花を飾ったり食べたりして楽しみます。福島県の二本松市は菊人形が有名な街です。

食用菊

食用菊という食べられる菊があり、花の部分をおひたしや酢の物、天ぷらに調理することが多いです。色鮮やかで目でも楽しめる節句にふさわしいメニューができあがります。また、菊の花は血行を良くすると言われており、薬効にも期待ができそうです。

菊酒といって、お酒に菊の花を浮かべたものも昔から好んで飲まれてきました。菊酒にはもうひとつ作り方があり、果実酒のように漬け込んだものも飲まれるようです。

また、栗は秋の味覚の中でも有名なもので、栄養価が高いこともあり、栗ご飯として食べられました。秋なすも、食べると中風にならないと言われて好んで節句の料理になりました。

昔から日本では、和菓子で季節を表現してきました。重陽の節句の時期にも菊をデザインした和菓子が店頭に並びます。菊酒を飲めない人や子どもでも手軽に節句の気分を味わえますから、お菓子屋さんに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

重陽の節句についてのまとめ

・2018年の重陽の節句(旧暦)は10月17日。
・陽数の極数である9が重なることから重陽の節句と呼ばれる。
・重陽の節句は菊と秋の味覚でお祝いする。
・盛大にお祝いされる大切な節句だった。

他の節句は残っているのに、重陽の節句だけは残念ながらあまりピンとこないのは寂しいです。

また、菊祭りと呼ばれているのが、重陽の節句だとは知りませんでした。

これからはニュースも気を付けてみてみたいと思います。

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